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開放病棟体験3時間の患者さん

初回入院時の体験。

ある日、閉鎖病棟から患者さんが一人開放へ移るという。開放にいたメンバーは、新しい仲間を迎えるべくワクワクしながら待った。お引越しさながら、衣装ケースに入った彼の荷物を、閉鎖病棟から開放病棟に運ぶ手伝いなどをする。

好奇心から、新しい仲間がどんな人柄なのか、皆興味を持ち、入院前はどんな生活をしていたのかなどという会話を入れ替わり立ち代わり交わす。

さて、ひと通り、開放病棟のメンバーと挨拶みたいな軽い会話を終えたT氏は、何を血迷ったか、詰所に一人歩み寄る。

T氏:  (詰所の小窓に向かって)あの~、すんません。
看護師: どうしたんですか?Tさん。
T氏:  あの~、家に電話したいんですけど。
看護師: 電話したらいいじゃないですか。
T氏:  電話番号忘れて、電話番号教えて下さいよ。
看護師: 電話して何話んですか?
T氏:  家に帰りたいんです。

これで、オールオーバー。全て終わり。T氏は開放病棟に出世するまで、半年以上閉鎖病棟で耐えぬいたはず。しかし、この会話で終わり。

詰所があわただしくなった。しきりに、電話を回し、誰かと話す看護師。2、3分後には、T氏のベッドがカラになる。看護師連中が今さっき運び入れたT氏の荷物を持ち去ってしまった。同時に屈強な看護師がT氏を左右両方からガードするように、連れ去った。

彼は、閉鎖病棟に戻ってしまった。たった、3時間の開放病棟病棟生活が終わった。彼はせっかく開放病棟に移ってきたのに、外は一歩も出ていなかったんじゃなかろうか?

この病院ではアルコール依存症の病識を持っていると判断される場合は、開放病棟で生活できるが、そうでない場合は閉鎖病棟だ。では、アルコール依存症の病識を持っているとはどういうことだろう。それは、自分がアルコール依存症であるととりあえず認め、この病院で治療する意思を自ら持っているということ。

とすれば、T氏の「家に帰りたいんです」という一言は、「病院にて治療する意思がありません」ということになる。したがって、即、閉鎖病棟に戻されることになる。

私も入院当初、先輩患者から入院生活に於ける注意を聞いた。その中に、「看護師や医者に、絶対に、家に帰りたいとは言ってはならない」と習ったものだ。言ったら治療意思がないと思われて、閉鎖か独房に入れられるよと。まさにその実例をT氏は身を持って示してくれた。

ちなみに彼の家は農家で、彼は仕事に行くといっては、畑にでて、畑に埋めておいた一升瓶を飲んでいたそうだ。奥さんにそれがバレて、奥さんは発狂して、この精神病院に送られたらしい。人生いろいろあるもんだ。

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Author:YJ
アルコール依存とベンゾジアゼピン系薬物依存の記録。

I hope this blog is of some help to those wandering in the darkness with no way out like I used to be.

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